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月刊誌 たま |
「むつう整体」は苦痛を一時的に取り除く対症療法ではなく、誰もが持っている生命力の本来の働きを促し、自らの力で健康になるという治療法(原因療法)。この方法を開発した木村
仁 さんは、この内なる力を「イネイト・インテリジェンス (内なる自然の叡智)」と呼んでいる。
この力こそ宇宙の真理であり、自然治癒力でもあるという。
では、そのイネイトは体のどこにあるのか。
20年程前まで鍼灸師として大きな成功をおさめていた木村さんだったが、せっかく患者さんの訴える苦痛を取り除いても、突然別の病気で亡なくなってしまうという体験を何度かし、対症療法に疑問を感じた。その時出会ったのがカイロプラクティックのB.J.パーマー氏の理論だった。
そこで、イネイトの源が生命を維持している脳幹にあることに着目。ホメオパシー
療法などと合わせて研究を重ね、脳幹の波動がゼロ波動である事をつきとめた。
そのゼロ波動に共鳴する波動があればイネイトは活発に流れ出し、本来の働きを
取り戻すのではないかと考え、そこで生まれたのが波動発生器アディオだった。 ゼロ波動は全てのものを包含する宇宙の根源のエネルギーそのものという。
だから人間も本来の姿、健康であるには日常の生活がより自然であればイネイトと
共鳴するのだが、これがなかなか難しい。
今回、その治療を体験させていただき「むつう」の意味を納得。治療者は患者に
まったく触ることがないのだから。これが新しい時代の治療法なのだろう。
あくまでも自然であることを提唱する木村さん。「私は当たり前の事をいって いるだけですよ」と言われるが、「本当の自然ってなんだっけ?」という私の眠った感性を目覚めさせなければと、自然観などについてお話をうかがってきた。
現代人は自然治癒力が働きにくくなっているのではないでしょうか?
木村:今の人は自然を過小評価しているところがあって、太陽の光にしても空気にしても自分を活かしている生命力(イネイト)にしても、私達にとってはなく
てはならない(最も)と言ってもいいくらい大切なものなのに、それはお金を払う必要のない無償の愛なので、その大切さになかなか気づきにくいんですね。
子を思う親の愛のような無償の愛、つまり、神の声のわけですよ。
この世は「陰と陽」の対極で成り立っていて、「陰」の見えないものに対して、「陽」つまり、物とか財産といった目に見えるモノのほうばかりに気をとられてしまっているんですね。
こうなると人間の欲が「もっと、もっと。」ときりがなくなり、目にみえない大事なモノをますます見失ってしまうことになる。本物は陰のほうにあるので、見えるものばかりを追っていると必ず不幸になる。本当に正しいものを正しいと認めるだけで医療に大変革がおきるんですよ。
「私達が頂いている力、それは外にはないんですよ。全部自分の内にあるんですよ。」と言っているわけで、その内なるものをイネイトと呼んでいるわけです。つまり、イン・ネイチャー(内側にある自然)の派生語なんです。
このイネイトこそが「本当にその人を生かしている力」で私達はこれにどんなに感謝しても感謝しきれないといっていいでしょう。
本当は畏敬の念、感謝の念が生まれてもいいはずなのに、それを正しく評価しないから、そこに多くの人が問題を抱える事になってしまうんです。
「人間は小宇宙」という本当の意味を理解していない?
木村:だって、私たちの体には製薬工場から医者まで全部そろっているんですよ。切り傷の治る過程にしても、たとえば縫合手術でも糸を抜けば自然にくっついちゃうんですから。イネイトの力がなかったら、手術なんてとてもできません。生命の誕生にしても、受精し、成長し、細菌やビールスにも打ち勝って生命を維持し、心臓は血液を、肺は酸素と炭酸ガスを交換してくれるんですよ、死ぬまで。
「自然の力」は誕生、成長、予防、修復まで全部オートマチックでやってしまうんですから、凄いですね。その精密さは人間の頭で考えた高層ビル建築のテクノロジーなんかおもちゃみたいなもんですよ。結局、「内なる神」をどこまで評価するかですね。
設計は全部すでに神がやってくれているんですね?
木村:医療関係者も自然治癒力という言葉自体は知っているんですよ。
ところが自然治癒力を「助ける」とか「増強する」という表現で、それは、人間が「主」で自然が
「従」という立場なんですね。
逆なんです。つまり、イネイト(自然治癒力)は 「内側の神」なんです。内なる神が人間の知恵なんか必要ない、ということなんです。私の仕事は内なる力を引き出す触媒のようなものです。それをやらないと、その人の本当の力が出ないからです。 だから、人間が「ああ治したい」「こう治した
い」と設計図を描いてはいけないんです。私も鍼(はり)を使って治す技術においては自分でも自信があるんですが、それも対症療法に過ぎないと気づいたんです。
多くの人は、その内側の「すごい力」の存在について考えていなかったというか、忘れていますね。
木村:この力を成長させ、強化すれば医療は激変するんです。
実際、私のように患者さんに触りもしないのに多くの人が奇跡的な回復をしているんです。
それは、それぞれの体の中に全部用意されている「その力の存在」がわかっているからで、我々治療者が素晴らしいからではないんです。
私たちは触媒にすぎず、患者さん自身がその存在に気づいたと言う事です。この本当に大切なものを正しく評価した時に、教育も政治も経済も本当に正しい姿になることができるんです。
体の中の「すごい力」をあまりにも当たり前のものと思って正しく評価していなかったために病気が発症したわけですね。発症してあわてて何かしようとする。
木村:何かを外に求めようとする。外には幸せの青い鳥はいないんです。
外に求めたら、もっと不幸が来るんです。
たとえば、外に求めて抗生物質を使い、いっとき症状をとって幸せの青い鳥を得たと思っても、今、抗生物質が効かなくなってしまった。現代医療が負けちゃったわけです。細菌の知恵が人間の知恵を上回ってしまったんですね。
昭和40年代に、すでに研究者の間では 「細菌には知恵があるから、こんなことをやっていたら、そのうちに化け物が出て、
いずれ人間は負けるよ」と言っていたのが現実になったわけです。だからといってその他の周辺医療が正しいといったら、それも正しくない。これも外から
内側に作用させるということでは、やっぱり対症療法なんですね。 やっぱり内側のものを正しく見ていない。「何かを治す」じゃなくて、全て内側が主なんです。
農業もそうでしょう?近代農法は農薬や化学肥料を使って大量生産する。 有機農法にしても堆肥を使い、雑草をとって育てる。それも対症療法と同じなんですね。本当は土の力の本当の凄さを信じていれば、雑草を取ることもないし、農薬もまかない、肥料もやらない自然農法がいいんです。自然は全部循環して必要とするものを与えてくれますから。
知人が自然農法でできた野菜を送ってくれるんですが、大根があんなに真っ白でみずみずしくって美味しいものだったなんて、初めての体験でした。
木村:おいしいでしょう?何もいじってないからですよ。
アメリカやインドでは農薬や化学肥料を大量に使い大規模農業方式でしたが、その結果、今は地下水は枯れ、
地面から塩が噴いてしまって農地として使えないでしょう。インドなども一時は確かに多収穫で自給率100%。余った農作物を近隣諸国にまわしていたよう
ですが、そんなことをやっていたから世界中で農業はもう終わりですよ。その点 、日本は地形の関係で大規模農業に取り組みにくかった、という事もあり、
まだまだ救われているんじゃないですか。
教育の世界でも、そういう現象が起きているでしょう。塾だって本当は学校だけでは学力が追いつかない子供のためにあったんでしょうけど、偏差値教育の結果、
いい学校に行くためになってしまった。知識だけを教え。人間にとって本当に正しいもの、本当に必要とするものを教えなかったからですよ。
結果が出ているのに、今となってはどうしていいかわからなくなってしまった。もう引き返せなくなってしまったんでしょうか。
木村:昭和40年代には、それぞれに方法論はあったんです。水道水の発癌性物質にしてもゴミの問題にしても、結局、経済の追求に明け暮れてしまったから、
ツケが回ってきたんですね。今、一番怖いのは遺伝子の組み換えですよ。食糧の安定供給という大義名分があるんですが・・・。結局見える世界だけを追うから
「もっともっと」という構造になっちゃって。
私の書いた「ゼロ波動の癒し」 という本には当たり前の事しか書いていないのです。やさしいので多くの人に喜んで読んでもらっていますが、当たり前のことを正しくとらえることができれば、
どうしたらいいのかがわかってくると思いますが・・・・。
今は当たり前のことがわからなくなってきてしまったいるんですね。
木村:善意にしても正気、狂気にしても大人が区別できなくなってきているでしょう。人が心地よく思わないものは絶対悪なんです。逆に本当のいい意味で人が救われる事は善なんです。簡単な事なんです。全部自分の内側に聞けばいいんですから。
内なる自然は先天的なもので、最初から与えられている。 それに対して後天的に与えられた知識、自然に反した教育がイネイトを邪魔するんです。脳幹から大脳にイネイトが満たされると正しい知識が得られる。それが直感です。
特に、これからの時代は何が正しい情報なのかを直感で選択しなければならないですからね。
木村:イネイトが選ぶんですね。直感力は誰もが持ち合わせているんですが、
後天的に外から与えられた固定観念、先入観念というサングラスをかけてしまったために、真実を見失わせているんですね。真実はいつもそこにあるのに。
ところがイネイトが流れてくると見えやすくなる。内側が健康であれば、 善悪の判断も正気、狂気の判断もしやすくなり、物の中心を捉えやすくなるんです。そして心が澄んでくると全てのことがシンプル化してくるんですよ。自然は究極にシンプルなんです。そして心が澄んでくると全ての事に感謝したくなるんです。そして自然に生かされている事に気づくんです。
本当はこれが人間の姿なんですね。
イネイトとつきあうのが楽しくなりますね。そして勇気が湧いてきました。 ありがとうございました。
治療室はイネイトが充満しているせいか明るくキラキラとして、そして澄んで
いる。治療を受ける時の緊迫感などまるでなし。ベッドに横になっているだけなので、ただただ気持ちいいのだ。「鍼をやっていた頃のほうがずっと収入が多かったん
ですよ」と笑う木村さん。しかし、イネイトに気づいた時から「生かされている事
に感謝」の毎日を実践されているのだろう。今は月に1回、無料でセミナーを開き、
1人でも多くの人が自分の力でイネイトを活用できればと、普及活動をされてい るという。
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