終戦後六十年あまり、終戦前にはほとんど耳にすることのなかったダイエットという言葉がごく一般的になりました。
それでいながら、ダイエットの意味を正しく理解している人はきわめて少ないという矛盾した状況下にあります。
ダイエットとは「規定食」という意味を持っています。したがって、太った人が減量するのもダイエットなら、痩せた人が体重を増やすのも立派なダイエットなのです。
今「私はダイエットのためにもりもり食べています」などという人は皆無に近いでしょう。
それほどまでに、一億総肥満化とでもいえる傾向が強まっており、それが病気を増やし、医療費の増加を招いています。
今から三十年ほど前、食生態学者の西丸震哉さんが短命化の七つの条件を挙げています。そのうちの次の三つの項目が、そのまま減量のためのダイエットの必要性を生み出す原因にもなっています。
一 食べものは飽食状態
二 肉中心の食生活(蛋白質の大量摂 取)
三 野菜の摂取量が少ない
かつては常識とされていた腹七分目(八分目)といった言葉が死語になりつつあります。
世界各国の食べものが氾濫する中で、子どものうちから飽食の状態に置かれており、その子どもたちが育児に当たるという悪循環を招いています。
詳細は省きますが、食事のバランスを保つ上で、もっとも好ましいのは、植物性食品七に対して動物性食品一という割合なのです。
いまや、動物性食品の摂取量の方が植物性のものを上回るような日本人も生まれています。
それと対称的なのが野菜の摂取量不足です。「野菜は薬である」「台所は家庭の薬局である」といった古来からの言い伝えをしっかりと身につけて、万病のもととなる減量を要するダイエット(肥満)から身を守っていただきたいものです。 |